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ひとの気持ちが聴こえたら SWITCHED ON

去年から読みたかった本、
「ひとの気持ちが聴こえたら」。
期待以上。
原題はSWITCHED ON A Memoir of Brain Change and Emotional Awakening。
すごくいい邦訳タイトルだと思った。
筆者のジョン・エルダー・ロビンソン氏は
1970年代にキッスの「火を吹くギター」を制作した人らしい。
若くして独学で世界トップレベルの音響機器の整備や設計技術者になったものの
人間関係がうまくいかずその仕事をやめてしまう。
しかし車の修理工に転身して成功、
そのあとは自閉症に関する本を出版して有名になる、という
仕事面では他人から見れば羨ましいような経歴。
しかし彼自身は自分のアスペルガーの特性から来る対人関係の問題に悩まされ続けていたという。
(人から見るとそれまでの彼は常に自信に満ち溢れ、
対人関係で悩んでいるようには全く見えていなかったというのも興味深い)
その突破口を求めて
2008年 経頭蓋磁気刺激(Transcranial magnetic stimulation 略してTMS)の研究に
参加したところからこの本の記録が始まる。
彼の脳の中の接続が変化したことで、
彼自身の感受性が劇的に変容を遂げる物語。
彼はそれまで
・人に対応する
・適切なことを言う
・人が当たり前と思っている行動をする
ということが極度に出来なかったのが
この刺激を受けた直後は相手が全てを口に出さなくても相手の気持ちを汲み取れるようになり
その後、刺激の効果があると言われる時間を超えても
他人から見て好ましい言動ができるようになった。
ここでこの話があっさりと終わると
自閉症は将来、TMSで治療できる可能性がある、めでたしめでたし、
になってしまうが
そうはならない。
研究への他の参加者は必ずしもジョン・エルダー・ロビンソン氏のような持続的変化とはならず
すぐに元の状態に戻ってしまったり、
そこまでの効果が出なかったり。
そしてそれまで良い関係だった二人目の妻との関係は
彼が感情を汲み取れるようになったがために悪化して離婚に至る。
時に、人の気持ちがわかりすぎるのは良いことばかりではないのだ。
彼が研究に前向きに参加しつつも問いかけるのは
TMSが自閉症のもたらす社会的苦痛を和らげることに使われるのは喜ばしいことだが
自閉症を「治療」対象とするのが正しいことなのかどうか、
そして必ずしも将来良い結果になるのかどうか、であり
その答えはここにはまだない。
自閉症の人の脳の働きを
多くの人の通常の状態に近づけることによって
特定の分野の秀でたものを抑え込むことにもなる。
実際、過去に偉人と言われた人の子ども時代の振る舞いを
現代に置き換えると自閉症と診断されたであろう人が少なくない。
彼自身、子どもの頃に寂しい思いをしたが
今では自閉症だったから大人になって
ある分野において成功したとわかっていると述べている。
彼は人の顔の認識能力が著しく低いが
(実は自分の息子のことも顔では判別ができず、服やその時の状況で判別しているとこの研究で判明)
全く同じ型の黒のメルセデスベンツが10台、目の前に並んでいても
1台1台の違いを明確に指摘できる。(かなり驚き!!!)


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で この話を身近に置き換えてみると、
かつて専門学校時代、「ツボは見える」と仰った先生がいた。
皮膚を見るとどこがツボか、どの方向にどのくらいの深さで鍼を入れるべきか
見えるんだそうな。
先生の技術は確かにすごかった。
しかし決して万人に思いやりがあるとは言えなかったというか、
わりと偏った性格の方だった。
それを補って余りある鍼灸の才能に恵まれていたけれども
思えば先生は常識を外れない程度に人の気持ちがわからない人だったのだ。
自閉症と診断されるレベルではないにせよ
カリスマとか、才能があると言われる人には癖のある人が多い。
天才的な先生方のことを思い出しつつ、
自分の中の対人傾向についても考察ができたので
読んで良かった。





Date: 2020.03.20 Category: 本・雑誌・新聞記事  Comments (0) Trackbacks (0)

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Saori Takano

Author:Saori Takano
「ここに来て良かった!」と心から言っていただける治療室を目指しています。

鍼灸治療は相性も重要、
来院するかどうか迷っている方は
ざっと読んでいただいて相性の参考にしてくださいね。

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