高級な癒し

「医道の日本」6月号が届きました。
特別レポート「醫の原点に立ち返る鍼の試み」という記事があり、
それってどんな試みなのかとわくわくしながら読んだのですが・・・

内容はどんなものかというと
京都の一流料亭「卯庵」で「鍼の会」という催しがあり、記者がそれをレポートしたもので
「鍼の会」では一流のチェロの演奏と一流の懐石料理、
一流の調度品という環境の中で鍼灸を体験してもらい鍼をポジティブに感じてもらう。
豪華で贅を尽くしたものと比べても見劣りするような文化でないことをわかってもらい、
「治未病」という面をアピールしてむしろ健康な時こそ鍼灸院にきていただきたいという業界の願いを発信する。
醫という言葉に立ち返るならば、その言葉が持つ意味は
リラクゼーションや慰安も含めて無限の広がりがあるということを再認識してもらう。 ・・・

ということが書いてありました。
要約が不適切だったらごめんなさい。
興味がある方は実際にこの記事を読んでみて欲しいです。
この企画の目的は
「?鍼灸を知らない93%の人達に鍼灸を体験してもらうための提案方法の模索 
治未病の実践にあたり、鍼灸を受ける時間が豊かなものであることをわかりやすい形で提案する。
鍼灸は健康な人も受けられると知ってもらうための異業種とのコラボレートによるきっかけ作りだそうです。
私がこの記事を読んで感じたこと。
一言でいえばがっかり、です。
タイトルと記事の内容はこじつけとしか思えない。
一流の文化財や料理と同列の鍼? なんだか違和感。
実際のその鍼治療というのは腹部を中心にごく浅い鍼を数本置鍼して
そのまま午睡してもらう、というやりかたのようですが、それはともかく・・・
参加者は国立博物館の名誉学芸員だの呉服商社の顧問だの、およそ一般的とは言い難い方々。
京懐石をいただきながら、
「それぞれが専門分野を持ち、ささいな会話の断片からいきなり世界規模の歴史・文化の変遷に話題が発展・・・」
その場に同席していたら、その「社会的地位の高い」方々の博学に関心するよりも
専門家同士の自己満足的な話題に辟易しそう。
料亭での食事という場の中でなければ歓迎しますけど。
この会の参加費は一人3万5千円だそうで
確か代官山あたりにある会員制鍼灸サロンの1回の施術料金もそのくらいのがあったし、
料亭へ出向く値段としては高いとは言わないのだろうけれども
でもなんだか!
そういうことを言いたいんじゃなくて!!
「鍼の情報発信としての新しい試み」が「ごく少人数で卯庵の持つ伝統と格式を楽しみつつ、
鍼の上質な時間を味わうという構想になった」というのは
少々安易というか貧相な発想だと思うのは私だけでしょうか。
鍼灸の素晴らしさを伝えるのに一流の調度品だの高級な食事だのというのは必要ないと思うんですよ。
美味しい料理というのはそれだけでリラクゼーション効果があります。
すっぽん雑炊の後に鍼打って昼寝ってどうなの。
そりゃあ高級料亭でお昼食べてチェロの生演奏を聴きながら受けるような治療の後で
鍼灸を悪く言う人はいないでしょうけど、
こういうアピールが鍼灸の啓蒙になるとはとてもとても・・・
上手く書けないのが非常にもどかしいのだけれど、
言ってみれば
「ちょっといい旅館で美味しいご飯を食べて、その後マッサージ師呼んで揉んでもらう」
のと、至福度のレベルはそう変わらないと思うので、
これのどこが「醫の原点に立ち返る鍼の試み」という大仰なタイトルに結びついているのかと。
あ、要するに私はこのタイトルに不満なのね。
原点を問うというならもっと相応しい活動をしている臨床家の方々がいるよと言いたい。
「料亭卯庵とのコラボレーション ― A氏、鍼灸の可能性について語る」
こんな感じのタイトルで良かったんじゃないの?医道の日本編集部殿。


ゴメンナサイ、ちょっと鼻息荒いです。
Date: 2008.06.06 Category: 2009年以前のブログ  Comments (0) Trackbacks (0)
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Author:Saori Takano
「ここに来て良かった!」と心から言っていただける治療室を目指しています。

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